従業員のSNS利用

 最近,バイトテロなどという言葉で表現されるように,飲食店を中心とするアルバイト店員による不適切な画像投稿が相次ぎました。
 筆者の印象では,6年ほど前も同じような事件が多発し,一旦収まったところ,最近になって再び多発しているような印象を受けます。
 事件を起こしているのが,10代から20代前半の若者であることに鑑みると,多分,前回同種の騒動が続発した当時には,まだ小中学生で,事の重大性を十分に理解しておらず,記憶にも残っていなかったのではないかと推測しています。
 筆者も従業員向けのコンプライアンスセミナーでは,「『おもしろい』ということは,何かの逸脱があるから『おもしろい』のだ。おもしろい物には逸脱がある。『おもしろい』投稿に社会からの逸脱がないか,注意してほしい」と説明をしております。
 では,会社側としては,このような従業員のSNS利用について,どのようにすればよいのでしょうか?
 実は,会社が取れる方法は,さほど多くありませんし,「テロ」のように現実に問題が起こされてしまっては,事後処理,善後策しか取れません。
 しかし,その中でも,従業員に誤ったSNS利用,不適切な投稿のリスクを説明し,理解をしてもらうことは,有益ではないかと考えております。
 従業員に具体的に説明される際には,次のことに注意いただけると良いでしょう。

①不適切な投稿の例をしっかり示す。

 例えば,廃棄した食材をまな板にのせるなどの不適切な行為や,線路への立入りなど違法な行為の動画をSNSに上げるのは,そもそも行為が不適切であって,当然許されません。
 他方,やってしまいがちなのは,例えば廃棄したピザ生地を顔に乗せるなどの行為に代表される,即違法とは言いにくいが,不謹慎で非難される行為です。この種の行為の場合,従業員側にもさほどの罪悪感はなく,ふざけている程度の認識かと思います。
 従業員に不適切な投稿の例を示すときには,このような「違法とはいえないものの,不謹慎な行為」を示す必要があります。

②不適切な投稿をした場合のリスクを示す。

 また,不適切な投稿をする従業員は,若年で,悪ふざけの延長で不適切な投稿を行っていることが多く,問題が発生しても,ここまで大事になるとは思っていなかったというのが殆どです。
 そこで,従業員に対しては,不適切な投稿を行った場合のリスクをしっかり説明することが必要になります。
 具体的には,個人が簡単に特定されてしまうこと,デジタルタトゥーと言われる情報保存の永続性の問題を説明するのが良いでしょう。また,会社側からの損害賠償の可能性もあり,この損害賠償は場合によっては莫大な金額になりえること,および身元保証人に対しても請求がなされることを説明すると良いと考えます。

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